東京地方裁判所 昭和42年(ワ)11091号 判決
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〔判決理由〕請求の原因第一項(1)ないし(5)は当者間に争いがない。
そして、<証拠>を総合すると、以下の事実を認めることができる。
原告幸二は、本件事故により後頭部及び前胸部挫傷兼脳震蕩症の傷害を受け、直ちに、渋谷病院に入院したが、間もなく退院し、引き続き、同病院に通院治療をしたところ、症状が思わしくないため、昭和三九年一一月一九日から昭和四〇年一月三一日まで三鷹新川病院に入院治療をし、同年六月二四日から同年七月一四日まで(治療実日数三日)同病院に通院治療をした。その後、原告幸二は、次々と病院を変えて治療をした。すなわちまず、昭和四〇年一〇月八日相模原友愛病院精神科で診断した結果、頭部外傷後遺症(神経衰弱様状態)、高血圧症ということで同日より同年一二月九日まで入院治療した。次に、同月一〇より、昭和四一年三月九日まで河北病院に通院治療をした。更に、昭和四一年三月一四日関東労災大病院で診断を受け、同日より同年五月中旬頃まで同病院脳神経外科へ入院し、同時に同病院眼科の診察を受けたところ、軽度の虹彩炎も認められた。昭和四二年二月八日より同年九月一八日まで慈雲堂病院精神科に慢性酒精中毒症・脳動派硬化症、頭部外傷後遺症(高血圧)ということで入院加療し、現在も引き続き治療をしている。そして、原告幸二は、後遺症として頭部外傷後遺症、頸椎挫傷による右上下肢知覚運動障害、めまい、平衡障害を残したため、将来軽労働に従事することは可能であるがタクシーの運転は困難となつた。
被告は、原告幸二の前記症状は、本件事故に基づく鞭打症によるものではなく、原告幸二の既往症である「慢性アルコール中毒症」、「脳動脈硬化症」、「高血圧症」および「肝機能障害」によるものであると主張する。そして、先に認定した事実によれば、原告幸二は、本件事故以後慢性アルコール中毒、脳動脈硬化症、高血圧症で入院加療を受けているほか、<証拠>によれば、本件事故以前においても、昭和三七年一一月八日から同三八年一月二二日までの間、慢性アルコール中毒・肝機能障害で三鷹新川病院に入院加療を受けていることがうかがわれる。従つて、原告の前記症状がすべて原告幸二の本件受傷による後遺症と認めることはできないとしても、先に認定した事実からみれば、その大部分は本件事故による受傷にもとづくものというほかはない。
被告は、原告幸二の症状が、原告らが主張する如く「鞭打症」であつたとしても、本件事故との間に因果関係を認めることができないと主張する。<証拠>によれば、原告幸二は、本件事故以前に鞭打症の傷害を受けたと推定される追突等の事故を数多く惹起していること、本件追突による衝撃の状況はさほど強いものではなかつたことがうかがわれる。しかし、本件追突事故が存在する以上、右認定の事実をもつて、直ちに、本件事故が本件鞭打症の原因であることを否定することは困難である。(福永政彦)